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  • 2024.9.25

【不動産コラム⑯】不動産の相続に必要な手続きとは?相続方法を分かりやすく解説

不動産の相続は、手続きが複雑で時間がかかることがありますが、基本的な流れと手続きを理解しておくことで、スムーズに進めることができます。

この記事では、不動産の相続に必要な手続きや相続方法を分かりやすく解説します。(以下の内容にでてくる税額、税率などは法改正等により変わることがありますので、参考としてご覧ください。必要があれば田村ビルズグループ顧問税理士、顧問司法書士の無料相談をご案内可能です)

1. 不動産相続の基本的な流れ

不動産を相続する際の基本的な流れは以下の通りです。

1-1. 相続の開始

相続は、被相続人(故人)が亡くなった時点で開始します。相続が開始すると、被相続人の財産は相続人に引き継がれることになりますが、相続には財産だけでなく、借金などの負債も含まれるため、慎重な対応が必要です。

1-2. 相続人の確定

まず、相続人を確定するために、被相続人の戸籍謄本を取り寄せ、法定相続人が誰なのかを確認します。相続人が複数いる場合は、誰がどの財産を相続するかを話し合うことになります。

【相続人の範囲】
配偶者(常に相続人となる)
子(被相続人に子がいない場合は、孫が相続人となる)
親(被相続人に子がいない場合に限る)
兄弟姉妹(被相続人に子も親もいない場合に限る)

1-3. 相続財産の把握

次に、相続財産を把握します。不動産の他にも、預貯金、株式、負債など、すべての財産をリストアップします。不動産については、その価値や現在の状況(賃貸中、空き家など)を確認し、評価額を算出します。

【不動産の評価方法】
固定資産税評価額
不動産会社による査定額
路線価や時価

1-4. 遺産分割協議の実施

相続人全員で、遺産分割協議を行い、遺産をどのように分けるかを決定します。遺産分割協議が成立したら、その内容を「遺産分割協議書」にまとめ、全員が署名・押印します。

【注意点】
相続人全員の同意が必要です。同意が得られない場合は、家庭裁判所での調停や審判を利用することになります。
分割協議が成立しないと、不動産の名義変更などの手続きが進められません。

1-5. 相続登記(名義変更)の手続き

遺産分割協議が完了したら、不動産の名義変更を行います。これを「相続登記」といい、相続登記を行うことで、不動産の所有者が正式に相続人に変更されます。

【相続登記に必要な書類】
被相続人の戸籍謄本および住民票の除票
相続人全員の戸籍謄本および住民票
遺産分割協議書
不動産の登記簿謄本
相続登記申請書(法務局で取得またはインターネットでダウンロード可能)

1-6. 相続税の申告と納付

相続財産の総額が一定額(基礎控除額)を超える場合は、相続税の申告と納付が必要です。相続税は、相続開始から10ヶ月以内に申告し、納付を行う必要があります。

【相続税の基礎控除額】
基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

【相続税申告に必要な書類】
相続税申告書
被相続人の財産目録
遺産分割協議書
相続人の印鑑証明書
その他、必要に応じて銀行の残高証明書や不動産の評価証明書など

2. 不動産相続の方法

不動産相続には、主に3つの方法があります。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

2-1. 単独相続

単独相続とは、相続人のうち一人が不動産を相続する方法です。他の相続人が不動産を相続しない代わりに、現金や預貯金を分割することで、不動産を単独で相続する者が現れる場合があります。

【メリット】
不動産の処分や管理が簡単になります。不動産を共有することで起こるトラブルを避けられます。

【デメリット】
他の相続人との話し合いが難航する場合があります。

2-2. 共同相続

共同相続は、不動産を複数の相続人で共有する方法です。共有名義にすることで、各相続人が持ち分に応じた権利を持つことになります。

【メリット】
相続人全員で不動産の価値を共有できるため、公平感があります。

【デメリット】
不動産の処分や管理が複雑になる可能性があります。共有者全員の同意がないと、不動産の売却や賃貸が難しくなります。

2-3. 売却して現金化

不動産を売却して、その代金を相続人間で分割する方法です。この方法は、物理的な不動産を現金に変えるため、相続人間でのトラブルが少なくなる傾向があります。

【メリット】
分割が容易で、相続人全員が平等に財産を分けることができます。
不動産を管理する手間が省けます。

【デメリット】
売却までに時間がかかることがあり、不動産市場の状況によっては思うような価格で売却できないこともあります。

3. 不動産相続に関する注意点

不動産相続には、いくつかの注意点があります。これらを理解しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

3-1. 相続放棄の選択肢

相続には財産だけでなく負債も含まれます。負債が多い場合は、相続を放棄することが一つの選択肢です。相続放棄をする場合は、相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

【注意点】
相続放棄をすると、すべての財産および負債を放棄することになります。
相続放棄を行うと、その後の相続権は失われます。

3-2. 不動産の共有名義によるトラブル

共同相続で不動産を共有名義にすると、将来的に管理や処分においてトラブルが発生する可能性があります。共有名義で相続する場合は、あらかじめ管理方法や売却時の取り決めを明確にしておくことが重要です。

【トラブル例】
共有者の一人が不動産の使用を希望し、他の共有者が売却を希望する場合、意見が対立して売却が進まないことがあります。
共有者の一人が死亡すると、その相続人が新たな共有者となり、さらに管理が複雑化することがあります。

3-3. 相続税対策の重要性

相続税は、相続財産が基礎控除額を超える場合に発生します。高額な不動産を相続する場合、相続税の支払いが大きな負担になることがあります。そのため、相続税対策を行うことが重要です。

【対策方法】
生前贈与: 生前に少しずつ財産を贈与することで、相続税の負担を軽減する方法です。
養子縁組: 相続人を増やすことで、基礎控除額を引き上げることができます。

まとめ

不動産の相続は、法的手続きや相続人間の調整が必要な複雑なプロセスですが、基本的な流れや相続方法を理解しておくことで、スムーズに進めることができます。相続を検討している方は、まずは相続に関する専門家に相談し、自分に最適な相続方法を見つけることが重要です。また、相続に関する書類や手続きを早めに準備し、トラブルを未然に防ぐための対策を講じることも大切です。